みんなおそろい
(シルクネコ女の子)
シルクネコの女の子は、学校で一番のおしゃれさん、とひょうばんの女の子。
花をブローチにしたり、バッグにリボンをつけたりと、さりげない工ふうがとてもすてきなのです。
女の子たちはいつもそれにかん心して、
「おしゃれなシルクネコちゃんと、おそろいにしちゃった。」
と、まねをしていました。
でも、そんなふうにみんなにほめられると、シルクネコちゃんは本当にてれてしまいます。
おようふくやおしゃれが大すきなシルクネコちゃんですが、もともとおとなしいせいかくで、目立つことはあまりとくいではありません。
そんなシルクネコちゃんのたからものは、自分でかいたようふくのデザインちょうです。
かわいいリボンやレースをつかったもの、ちょっぴりおとなっぽいデザインやおひめさまみたいにごうかなドレスなど。
「いつか、こんなおようふくをつくってみたいな。」
と、ゆめみながらかきためていて、じつは、まだ、だれにもないしょにしています。
でも、ある日、シルクネコちゃんが学校でデザインちょうを見ていると、
「それはなあに?」
と、女の子たちがのぞきこんできました。それで、シルクネコちゃんは思いきって、
「あのね、おようふくのデザインなの。」
と、デザインちょうをひろげたのです。
すると、みんなは、
「すてき!シルクネコちゃんがかいたの?」
「わたしはこれがきてみたいな。」
と、シルクネコちゃんをかこんで大さわぎ。
楽しくもりあがっているうちに、みんなは、どうしてもこのおようふくがきてみたくなってしまいました。
そして、
「ねえ、シルクネコちゃん、みんなでこのおようふくをきてファッションショーをしない?」
というみるくウサギの女の子のアイデアにぜんいんが大さんせい!
「えーっ、わたしのデザインで?」
と、さいしょははずかしがっていたシルクネコちゃんも、自分がデザインしたようふくをみんながきてくれると思うと、うれしくてたまりません。
お母さんたちにも手つだってもらって、ファッションショーがひらかれることになりました。
シルクネコちゃんは、みんなにいろいろそうだんされて、大いそがし。
クマの女の子に、
「ドレスに、どんなアクセサリーがに合う?」
と、きかれて、
「そうね、木のみのネックレスがいいわ。」
と、どんぐり山に木のみをとりに行ったり、
「わたウサギちゃんのスカートのすそにはレースをつけたほうがかわいいわ。」
と、ドレスを手直ししてあげたり。
もちろん、自分のためにきてみたかったようふくもデザインして……と、シルクネコちゃんのへやのまどには、毎ばん、おそくまであかりがともっていました。
自分がデザインしたおようふくをつくりたい、というゆめをみんなといっしょにかなえることができるなんて、シルクネコちゃんはうれしくて本番の日がまちきれないほどです。
そしていよいよみんなのふくが出来上がり、明日がファッションショーという日。
ぶ台のさい後のし上げをしていたときです。
「あっ!」
大きなにもつをほこんでいたシルクネコちゃんは、かいだんに気づかずに、思いきりころんでしまいました。
「だいじょうぶ?シルクネコちゃん!」
みんながシルクネコちゃんをだきおこすと、シルクネコちゃんのはなのあたまには、大きなすりきずが。
「あーん、どうしよう……。」
なきそうになりながら家に帰ると、
「だいじょうぶよ。でも、バイキンが入らないように、こうしておいたほうがいいわ。」
と、お母さんがばんそうこうをはってくれました。
いたさよりも大きなばんそうこうを見て、
「あんなに楽しみにしていたファッションショーなのに、こんな顔じゃでられない。」
と、なみだがこぼれてしまったシルクネコちゃん。
本番当日も、すっかりおちこんで、なかなか家から出ることができません。
と、そのとき、家の外から女の子たちの声が聞こえてきました。
「早く行こう!シルクネコちゃん。」
どうやら、みんなでシルクネコちゃんをむかえに来てくれたようです。
そして、シルクネコちゃんがドアをあけると……。
なんとそこにいた女の子たちぜんいんがはなに大きなばんそうこうをつけていたのです。
「みてみて、わたしたちもシルクネコちゃんとおそろいよ。」
と、明るく言うみんなのやさしさに、シルクネコちゃんはむねがいっぱいになりました。
「ファッションショーに、こんなのは、どう?」
と、シルクネコちゃんのお母さんがつくってくれたのは、花やハートの形をしたかわいいばんそうこう。
「かわいい!」
女の子たちは、ばんそうこうをつけた顔を見合わせてにっこりわらいました。
シルクネコちゃんがデザインしたおようふくは、どれもみんなによくに合って、ファッションショーは大せいこうでした。
そして、
(大切なお友だちのために、またすてきなおようふくをデザインしたいな。)
みんなのえ顔を見ながら、シルクネコちゃんは心のそこから思うのでした。