小さなまほうつかい
ビスケットクマのふたごちゃんのエリオとエミリーはかわいいいたずらっこ。
小さなものをかぐのすきまにかくしたりして、家族みんなが大あわてでさがすこともしょっちゅうです。
でも、そんなふたりのいたずらが、みんなを助けてくれることもありました。
お父さんのロイドが家でせっけい図を書いていたとき、
「なかなかいいアイデアがうかばないなあ。うーん、むにゃむにゃ。」
ロイドがそう言いながら、いねむりをはじめると、せっけい図が1枚、ぱらりとゆかに落ちました。
それを見たエリオとエミリーは、クレヨンをとりだして、せっけい図にぐるぐると絵をかいてしまったのですが……。
目をさましてせっけい図のらく書きを見たロイドは、
「なんだこれは? ん? これはいいかも?」
らく書きをヒントにせっけいのいいアイデアを思いついたようす。
「うたたねしているあいだに、小さなまほうつかいが出てきて仕事をてつだってくれたのかな?」
ロイドは、クレヨンをにぎったままのエリオとエミリーにやさしくわらいかけました。
お母さんのエレナがお庭の手入れをしていたときも、エレナがひと休みしているうちに、アランとエミリーが花だんの草をつぎつぎとぬいていって、
「あら、いつのまにか小さなまほうつかいが草むしりをしてくれたのね。たすかるわ。」
エレナはどろんこになって楽しそうなふたりを見て、にっこり。
それから家族のみんなは、エリオとエミリーのいたずらを『小さなまほうつかいのおてつだい』と言うようになりました。
女の子のモリーの大切な本に、いつのまにかしおりがはさんであったときは、
「ちょうどわたしがすきなところよ。ふたりにも読んであげるね。」
と、3にんの楽しい読書タイムになりました。
食べることが大すきな男の子のテオは、
「ぼくのところにもまほうつかいがおいしいおかしをもってきてくれるといいな。」
なんて言っていたのですが……。
おりょうりのとくいなテオは、いつもおいしいクッキーをたくさん作って、きれいなはこにいれていました。
ある日、はこをあけてみると、クッキーがぜんぶひとくちずつかじられています。
「さすがまほうつかいさん! おいしいものがあるところはちゃんとわかったんだね。」
と大わらいのテオに、口のまわりにクッキーのかけらをいっぱいつけて大まんぞくのエリオとエミリーでした。