はじめてのキャンプ

ゆきヒョウのお父さんのジェラルドとお母さんのホープは、キャンプや山のぼりが大すき。  
けわしい山のちょうじょうにさっそうと立つすがたは、村のみんなのあこがれでした。 
赤ちゃんのララと妹のルミもふたりににて、とっても元気。
「いつかおとうさんたちみたいに、たかーいやまにのぼろうね。」
ララはいつもルミにそう言っていました。
ある日、家族でキャンプに行くことになってララは大よろこび。
「はじめての山のぼりのトレーニングだね。」
「がんばって。」
と、みんなに見おくられて、はりきって出発したゆきヒョウファミリーですが……。

山道を歩きながら、ララがちょっと岩の上にのぼろうとすると、
「おちたらたいへん!」
とジェラルドとホープはすぐにだきあげてしまいました。
山ではこわいものしらずのジェラルドたちですが、赤ちゃんたちにとっては、心配しすぎのやさしいお父さんとお母さんだったのです。
しばらくのぼって、ついたのはなだらかな草原の上。

「よし、ここで草スキーをしよう。」
とジェラルドが言うと、ララはさっそくスキーにのってすべりだしました。
「やっほー!」
どんどんスピードが出てララは大はしゃぎ。
ジェラルドとホープはまた、
「あぶない!スピード出しすぎ!」
と何回もひっしで草原をかけおりたり、またのぼったりとララをおいかけることになりました。

お昼を食べてひと休みした後は、みんなでかくれんぼ。
さいしょはホープがかくれるばんです。
(ふふふ。山の中にかくれるのは、とくい中のとくいよ。)
と岩のすきまにかくれたホープですが、すぐにルミが、
「みーっけ!」
大きなふさふさのしっぽが岩の上からまる見えだったのです。

それからもララとルミは大すきなお父さんとお母さんのしっぽであそんで大はしゃぎでした。
夜、ジェラルドとホープは星をながめながら、
「ふう。今日は高い山にのぼるよりがんばった気がするね。」
「ちょうじょうに立ったのと同じくらい大まんぞくね。」
と顔を見合わせてにっこり。

いつのまにかララとルミはふたりのしっぽにくるまってねむっています。
「わーい、おやまのてっぺんについたよー……むにゃむにゃ。」
ララのねごとをきいて、
「高い山にのぼったゆめをみているのかな。」
「いつか、みんなでのぼろうね。」
とうれしそうにやくそくをしたジェラルドとホープでした。

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