のんびり、いそいで

(ラッコファミリー)

ラッコファミリーは楽しいことが大すきななかよしの一家です。
お父さんのコリンはのんびりやさん。
砂浜でぼーっと海をながめているのがお気に入りです。
家族で村のみんなと海にあそびに行った日のことです。
お父さんはいつものようにのんびり海を見ながら、小さい赤ちゃんのケイリーとコートニーにお話をはじめました。
「むかし、あるところで……。」
お母さんのマイラはそのとなりで本を読み出したのですが……。 
じつはお母さんはちょっとせっかちなタイプ。
つぎからつぎへと楽しいことがしたくてたまりません。
すぐに本を読み終えると、
「おもしろかった!こんどは浜辺で貝をひろいましょう。」
と貝をひろいはじめました。

いっしょに海にきていた村のみんなはその早さにびっくり。
そして、たくさん貝を集めると、
「これでおいしいクラムチャウダーを作ろう。そうだ!きのこもいれたほうがいいわね。」 
とお母さんは浜辺からはなれて林へといそぎました。
林のなかには、思っていたとおりおいしそうなきのこがいっぱい。

お母さんはきのこをとると、
「早く家に帰ってりょうりしなきゃ。」
と家にむかってかけだしたのですが……。
「あら?なにかわすれていたような……。」
そう、お母さんはいそがしくしているうちに、何をしているのかわすれてしまうことがあるのです。

「あ、みんなで海あそびにきているんだった!」
大切なことを思い出して浜辺へいそいだお母さん。
お父さんはさっきと変わらず、海をながめながらまだ赤ちゃんたちにお話を聞かせていて、ふたりはぐっすりねむっています。
お母さんが今までの話をすると、お父さんも村のみんなも大わらい。

でも、お母さんがクラムチャウダーを作るというのをきいて、こんどはお父さんが、
「すぐに帰ろう!」
といそぎはじめました。
「ちょっとまって。」
とお母さんがおいつけないほど。
クラムチャウダーはお父さんの大好物。クラムチャウダーのためならだれよりもはやく動くのです。

その日のディナーは貝ときのこたっぷりのクラムチャウダー。
お父さんはいつものように小さな赤ちゃんたちに食べさせてあげながら、ゆっくり、ゆっくりあじわいます。
おいしいクラムチャウダーが、みんなの笑顔でもっともっとおいしくなって、大まんぞくなラッコファミリーでした。

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