まねっこ、まねっこ

(シカのふたごちゃん)

シカのふたごの赤ちゃんのリダとニルスは、いろいろなことにきょうみしんしん。家族がやっていることはなんでもおもしろそうに見えて、同じことをしてみたくてたまりません。
お母さんがドライフラワー作りをしていると、自分たちもまねをしてお花をほしてみたり。ジャムやドライフルーツをびんにつめていると、いっしょにおかしをびんづめしてみたり。
楽しそうなふたりを見て、家族のみんなは、
「ふたりはまねがじょうずね。」
と言っていたのですが……。
いいことばかりではありません。部屋のかたづけをするお父さんのまねをしているつもりで、本やおもちゃをちらかしていったり、ジャムのびんにブロックをつめこんだりと、みんなをこまらせてしまうこともありました。

そんなある日、女の子のソフィアが自分で作った詩を紙に書いていたときのことです。それを見ていたリダとニルスは、ソフィアが目をはなしたすきに、ペンをとってその紙にぐるぐると絵をかいたり、クレヨンで色をぬったりしてしまったのです。お姉ちゃんのまねができてふたりは大まんぞく。

でも、それを見つけたソフィアはもうびっくり。
「どうしよう。学校でみんなに発表するのに……。」
しかたなく、らくがきされた紙をもって学校に行くソフィアを見て、リダたちもなんとなく元気がなくなってしまったのですが……。

夕方、学校から帰ってきたソフィアは、ものすごくうれしそう。
「学校でこの紙を見せたら、みんなにほめられちゃった。絵が詩のイメージにあっててすてきだって。ありがとう!リダ、ニルス。」
どうしてほめられているのかわからなかったけれど、うれしそうなソフィアを見て、ふたりもニコニコ。
「おかげでまたすてきな詩を思いついたから、ふたりで絵をかいてね。」
すると、お母さんも、
「すてき。じゃあ、大きな絵にしてかべにかざったらどう?」
と、ふたりの前に大きな紙をひろげて、クレヨンや絵のぐをならべてくれました。

リダとニルスは絵をかいたり、手についた絵のぐでペタペタと手形をつけていったりと大よろこびです。
「楽しそう。わたしもいれて。」
お母さんとソフィアが手形をペタペタつけはじめると、
「おもしろそうだね。」
と、お父さんまでなかまいり。
「今日はみんながふたりのまねね。」
楽しそうな家族のみんなにかこまれて、大きな紙いっぱいに絵をかきながら、ますますごきげんなリダとニルスでした。

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