みんなでゆーらゆら
(シカの赤ちゃん -水辺のなかよしブランコセット-)
シカの赤ちゃんのアスターは、小さい赤ちゃんのロゼとノヴァと大のなかよしです。
ふたりがすきなお花をつんできてあげたり、お気に入りのゆりかごをゆらしてあげたり。
「ゆーらゆら、ブランコだよ。」
と、ゆりかごをゆらすとロゼとノヴァはきもちよさそうにニコニコ。
アスターもブランコが大すきなので、
(ロゼとノヴァといっしょにブランコにのりたいな。)
と、いつも思っていました。
ある日、家族みんなできれいな泉のほとりにおさんぽに行ったときのことです。
アスターがふと上を見ると、大きな木のえだから太くて長いつるが、まるでブランコのようにまるくたれさがっていました。
つるにはきれいなお花と葉っぱがついていて、ゆらしてみると、お花もひらひらと動きます。
「わあい、おはなのブランコだ。ロゼ、ノヴァ、いっしょにのろう!」
アスターは大よろこび。
ところが、はりきってつるにすわろうとした、そのとき……
プツッ!アスターのおもさでつるが切れてしまったのです。
「えーん、おはなのブランコが!」
しりもちをついてなきだしてしまったアスター。
楽しいブランコを見つけたと思ったのに、もうがっかりです。
女の子のソフィアはそんなアスターをなぐさめながら、
「なんとかアスターたちをよろこばせてあげたいな。」
と、考えていたのですが……。
しばらくたったある日。
「アスター、おさんぽにいこう。」
ソフィアにさそわれて、このあいだと同じ泉のほとりに行ったアスターは、そこにあった物を見てびっくり!
それは、泉のそばでアスターが見つけたような、つたでできたかわいいブランコでした。
「さあ、3にんでのってみて。こんどはぜったいに切れないから。」
そう、ソフィアがアスターのゆめをかなえるために、お父さんたちにたのんでブランコを作ってもらったのです。
「いつもロゼとノヴァのおせわをしてくれて、ありがとう。アスターのアイディアのおかげで、すてきなブランコができたのよ。」
と、ソフィアがつたからお花をとってアスターの耳につけてくれました。
アスターとロゼとノヴァはさっそくブランコにのってゆらゆら。
まるで本物のつたにのっているようで、楽しくてたまりません。
「おともだちもよんで、みんなでのろうね。」
ゆらゆらとつたがゆれるたびに赤ちゃんたちの楽しそうな声がブランコのまわりにひびいていました。