ゆめはスピードスター

(アザラシファミリー)

アザラシファミリーはプールとつめたいものが大すきなのんびりやさんの一家。
赤ちゃんの体は、小さいあいだだけふわふわの毛です。
お父さんとお母さんはふたりをだっこして、やわらかい体をやさしくなでなでしているときが、一番しあわせな気分になるのです。

あつい日は、つめたいプールで遊んだり、プールサイドでアイスを食べたり、おひるねしたり。
とくにゴロゴロとおひるねばかりしているお父さんですが、水の中に入ると大へんしん。
およぎのスピードとかっこよさはシルバニア村では有名で、みんなから『しおかぜみさきのスピードスター』とよばれているほど。

こわいものしらずでおよぎがとくいな女の子の赤ちゃんマフィもプールにとびこんでボール遊びにむちゅうです。
でも、ちょっと水がにがてな男の子の赤ちゃんパフィは、プールサイドでじっとしたまま、
「ぼく、はいらないもん。」
と、お母さんからはなれません。
それでも水しぶきをあげて遊んでいるマフィをうらやましそうにチラチラ。

すると、そのようすを見たお父さんが、
「そうだ。いいものをあげよう。」
と、パフィにかわいいうきわをプレゼントしてくれました。
よろこんでうけとったものの、
「やっぱりおみずは、いや。」
と、なかなか水に入れないパフィ。
でも、お母さんといっしょにそうっとプールにうかんでみると……

「わー!ゆらゆらする。」
うきわで水にプカプカうかぶと、まるでお母さんにだっこされているようにいいきもちです。
その日からパフィも水がすきになって、毎日うきわをつけて、マフィとプールで遊ぶようになりました。 
そんなある日、ふたりがプールでボール遊びをしていると、

「とったー! あれ? あれ?」
大はしゃぎでボールをおいかけているうちに、いつのまにかうきわがはずれて、パフィはすいすいおよいでいたのです。
「およげてるよパフィ!」
みんなにほめられて、パフィもびっくり。
「いっしょにおよごう!」
マフィも大よろこびです。

こうしておよげるようになったパフィですが、プールでは、
「うきわ やっぱり、しておく。」
と、お気に入りのうきわをはなしません。
「じつは、お父さんも子どものときは水がこわくて、ずっとうきわをつけていたんだよ。」
お父さんの言葉をきいて、いつかお父さんみたいなスピードスターになりたいと思うパフィでした。

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