ゆめをかなえるまほうの本

(ショコラウサギファミリー)

「今日は大そうじをしまーす。」
とはりきっているのは、ショコラウサギの女の子のフレア。
ものでいっぱいのお部屋をかたづけようと思ったのです。
でも、どれも大切な思い出の品で、かんたんに手放せません。
「大そうじ、むずかしいなぁ。」そのとき、本だなのおくに古い本があることに気がつきました。

「こんな本、あったっけ?」
フレアがそっと開いてみると、
「なになに? この本にねがいごとを書けば、かなえられる?」
いつの間にかお父さんのフレイジャーと男の子のココがきて、本をのぞきこんでいます。
「見たことのない本だなあ。これは、まほうの本?」
「ねがいごとを書いてみよう。」

すっかりその本にむちゅうになってしまった3にん。
「ぼくは林の草むらでなくした大切なボールが出てきてほしい。」
「わたしはきれいなお花の絵をたーくさんたくさんかきたいな。」
「お父さんは世界でいちばんおいしいパンをやきたい!」
とつぎつぎとねがいごとを書いていったのですが……。

そのあとすぐ、フレアとお父さんは林にむかいました。
ココのねがいをかなえるためにボールをさがしに行ったのです。
夕方、フレアがやっとさがしだしたボールをもって家に帰ると、ココは大よろこび。
そして、ココからもフレアに思いがけないプレゼントがありました。

それは家いっぱいにかざられた、きれいなお花!お花!お花!
「これで絵をたくさんかいてね。」
おたがいのねがいごとをかなえあっていたと知ってフレアとココはうれしくてたまりません。
夕ごはんにやいたお父さんのパンは、
「世界一おいしーい!」
と家族みんなにほめられて、お父さんのゆめもかなったみたい。

ところが、ごはんを食べながら、お母さんのテリーと赤ちゃんのクレムにその話をすると、クレムがきょとんとして言いました。
「その本はまほうの本じゃなくて、前におねえちゃまがあそびでつくってくれた本です。わすれちゃったんですかー?」
「あれれ、そうだっけ?」
とフレアもびっくりです。

「まほうより、もっとすてきなやりかたでゆめがかなったのよね。ところで、大そうじはできたの?」
とお母さん。
「えーと、じゃ、まほうの本に大そうじしてって書こうかな。」
フレアのことばにみんな大わらい。家族のゆめとわらいがいっぱい、いつも楽しいショコラウサギの一家なのでした。

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