星の国のおひめさま
(みるくウサギファミリー)
ある日のごご、みるくウサギファミリーがティータイムを楽しんでいたときのことです。
おやつを食べおわって、うとうとおひるねをはじめた赤ちゃんのヘンリー。
お母さんとお姉ちゃんのレベッカはヘンリーをねかせながら、小さな声でおしゃべりをしていました。
レベッカはおひめさまにあこがれていて、くうそうをしたり、物語を考えたりするのが大すき。
ロマンチックなことのすきなお母さんといっしょに、いつもおとぎ話でもりあがっているのです。
「……それでね、わたしは本当は星の国のおひめさまなの。
流れ星がむかえにきたら、星の国に帰るのよ。」
いつものように、くうそうの物語を話していたとき、ヘンリーがぱっちりと目をあけました。
レベッカのことばを聞いていたようです。
(おねえちゃんがほしのくににかえっちゃう?)
そのうえ、お母さんも、
「さみしくなるけど、星の国でしあわせにくらしてね。」
じょうだんずきのお父さんまで、
「じゃあ、みんなをよんでおわかれパーティーをひらこう。」
と言い出したので、ヘンリーはすっかり本当のことだと思いこんでしまいました。
(おねえちゃんをつれていかないでって、おねがいしなきゃ!)
もともとヘンリーは星をながめるのが大すき。
いつもは「ながれぼしはそらからおちて、キャンディになるんだよ。あのおほしさまはレモンあじ!」
なんて、楽しそうに星を見ているのですが、今日はちがいます。
「そろそろねるじかんよ。」
と言われても、しんけんにまどの外を見上げています。
そのとき!星がひとつ、キラキラ光りながら夜空をながれていきました。
「ああ、たいへん!おねえちゃんをむかえにきちゃう!」
きゅうにながれ星にむかってさけびだしたヘンリーに、レベッカやお母さんたちはびっくり。
「どうしたの?」
なきだしそうなヘンリーからやっとわけを聞きだしました。
「それはわたしの作った物語なのよ。しんぱいさせてごめんね。」
レベッカのことばをきいて、ヘンリーはひと安心です。
そして、つぎの日、レベッカは物語のつづきを話してくれました。
それは星のおひめさまと弟の王子さまが流れ星にのってぼうけんするお話。
おやつの星の形のレモンキャンディーを食べながら、ヘンリーは楽しいお話に大よろこびでした。