かわいいおとどけもの

(トナカイファミリー)

トナカイのお父さんのジョリーとお母さんのエルムは、村のおとどけものやさん。
どんなものでも自転車につけた大きなリヤカーで大切にはこんでくれるとみんなにたよりにされています。
赤ちゃんのルイとイブは、そんなお父さんたちのおしごとがじまんでした。
「今日はいっしょにとどけてみるかい?」
ある日、お父さんにさそわれてふたりは大はりきり。
さっそくリヤカーをひいて、4にんはさいしょのおきゃくさん、ショコラウサギファミリーのお家へとむかいました。
「このシチューをクマのパトリックの家までとどけてくれる?」

お父さんのフレイジャーがもってきたのは、まだあったかいおなべ。
きのこシチューはフレイジャーのとくいりょうりで、いつもみんなに作ってあげているのです。
「あつくない?こぼれない?」
ルイとイブはしんぱいそうですが、ジョリーとエルムは、
「まかせて!」
と、にっこり。

おなべをじょうずにキルトにくるんでリヤカーにのせました。
そして、ちからもちのエルムの運転でリヤカーはゆっくりなめらかに村の道をすすみ、できたてのシチューをパトリックの家にとどけることができたのです。
「ありがとう!おいしそう!」
クマの男の子のピアーズはおなべをあけて大よろこび。

ルイたちもうれしくてたまりませんでした。
それからもお家からお家へとはいたつをつづけ、パン屋さんのかどを通りかかったときのこと。
ふと見ると、ベンチにシマネコの赤ちゃん、アプリコットがしょんぼりとすわっていました。どうやら家族とはぐれ、まいごになってしまったようです。

「おうちにかえりたい。」
と心ぼそげなアプリコット。
「うん。いっしょに帰ろうね。」
お母さんはアプリコットをだきあげると、リヤカーのルイとイブのあいだにのせてあげました。
しんぱいしてアプリコットを探していたシマネコの一家は、ごきげんで帰ってきたアプリコットを見て、ほっとひと安心です。 

「こんなにかわいいおとどけものをしたのははじめてだよ。」
とわらうジョリーとエルムを見て、ますますおとどけものやさんがすきになったルイとイブ。
「おとうさんたちみたいなおとどけものやさんになりたいね。」
そんなふたりのゆめものせて、おとどけものやさんは今日も元気よく走っていくのでした。

商品ページへ
HOME おはなし一覧