いちばんおいしいプレゼント
(トナカイのふたごちゃん)
トナカイのオリーとジンジャーはとってもなかよし、ふたごの赤ちゃんです。
おやつの時間になると、オリーはかけだしていって、
「いちばんおいしいクッキーちょうだい!」
と、おねだり。オリーの『いちばんおいしいクッキー』はバニラクッキーのことなのです。
いっぽう、女の子のジンジャーのお気に入りのあそびはプレゼントごっこ。
まわりにあるものをふくろに入れて、であったひとに、
「はい、どうぞ。」
と手わたして、
「ありがとう。」
と言われるのがうれしくてたまりません。
ただ、なんでもあげてしまうので、たいへんです。
お家のカギをハスキーのアンバーにあげてしまい、家族がお家に入れなくて、大あわてでカギをさがしたこともありました。
「プレゼントしたいな。」
今日もふくろに入れるものをさがすジンシャーを見て、お父さんたちはいいことを思いつきました。
「クッキーをたくさんやくから、ジンジャーはそれをふくろに入れて、オリーにプレゼントしてね。」
もちろん、ふたりは大よろこび。
バニラ、チョコ、オレンジ味……テーブルいっぱいにクッキーがやきあがると、ジンジャーは楽しそうにそれをふくろにつめていきました。
そして、
「はい、プレゼントどうぞ。」
ふくろをひとつオリーにわたそうとしたのですが……。
「いちばんおいしいクッキーちょうだい。」
そうたのまれても、ふくろの中が見えなくて、どれがバニラクッキーなのかわかりません。
「じゃ、ひとつあじみね。」
クッキーをひとつ食べたとたん、オリーはにっこり。
「これ、いちばんおいしい!」
ところが、つぎのふくろも、またそのつぎのふくろのクッキーもオリーはあじみをするたびに、
「これがいちばんおいしい!」
「これもいちばんおいしい!」
けっきょくぜんぶが一番おいしくて、どれがバニラクッキーかはわからないまま。
でも、ふたりは大まんぞくです。
「そうだ、おいしいクッキーをみんなにもプレゼントしない?」
お母さんのていあんにふたりはまたまた大はりきり。
「クッキーのおとどけでーす。」
「はい、どうぞ。」
よろこんでもらえてうれしいジンジャーと、みんなで食べるクッキーが一番おいしいと思うオリーなのでした。