はずかしがりやのバレエダンサー

(ヒツジファミリー)

ヒツジの男の子ウィントンくんと女の子のローナちゃんは、なかよしきょうだい。ふたりそろってはずかしがりやさんです。
ウィントンくんはクラシックバレエがとくいで、いつもローナちゃんの前でだけ、すてきなおどりをひろうしてくれます。そんなウィントンくんのおどりをうっとりとながめながら、ローナちゃんがずっとゆめ見ていることがありました。
(いつかウィントンくんがゆうめいなバレエダンサーになって、たくさんのひとにおどりを見てもらえたらいいな。)
でも、ウィントンくんはとってもシャイで、みんなの前でおどるのは大のにがて。
だから、今のところはウィントンくんのファンはローナちゃんとお父さん、お母さんだけなのです。

そんなある日、学校で発表会がひらかれることになりました。
「ぼくは歌をうたいたい。」
「わたしはピアノ!」
と、みんなが自分のやりたいことをきめていくなか、ウィントンくんはだまったまま。ローナちゃんはそんなウィントンくんをじっと見つめていたのですが……。

「はい、ウィントンくんはバレエをおどります!」
とつぜん、声をあげたローナちゃんにみんなびっくり。
「ウィントンくん、バレエがおどれるの?」
「すごい! 見てみたいなあ。」
でも、だれよりもびっくりしたのはウィントンくんです。

「ぼくはぜったいでないよ!」
そう言いはったのですが、ウィントンくんにまけないくらいお話の苦手なローナちゃんが、
「ウィントンくんのバレエはとってもすてきなの。みんなに見てもらいたいな。」
と、いっしょうけんめいみんなに話してくれているのを見て、決心がつきました。
「ありがとう。ぼくもがんばる!」

さっそくれんしゅうをはじめたふたりを見て、
「よかったね。おうえんするよ。」
とお父さんたちも大はりきり。
ウィントンくんのダンスにあわせて、お父さんはリズムをとって練習をお手伝い。お母さんは発表会用の衣しょうを作ってくれました。
いつもしずかなヒツジファミリーの家が急ににぎやかになりました。
もちろん、発表会でのウィントンくんのバレエは大せいこう。
村のみんながウィントンくんのファンになってくれて、ローナちゃんも大よろこび。
「きっといつかゆうめいなダンサーになれると信じているからね。」
大きなはくしゅにつつまれて、シャイなふたりのゆめが大きくひろがったのでした。

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