一番上のたからもの
(キリンファミリー)
キリンファミリーはおだやかでのんびりやさんの一家。
お父さんは、思い出のつまった古いかぐやどうぐが大すきで、なかでもリビングにあるチェストがお気に入りです。
そのチェストはとても大きくて、一番上のひきだしに手がとどくのは、せの高いお父さんとお母さんだけ。
そして、赤ちゃんのブランくんとブリーちゃんが、
「おやつ、ちょうだい。」
「おもちゃ、とって。」
とたのむと、お父さんたちがそのひきだしからさっととりだしてくれるのです。
だから、ふたりは、
『ほしいものがなんでもでてくる、まほうのひきだし!』
とよんでいました。
「そう。一番上のひきだしは、ひみつのたからもの入れだよ。」
とお父さんもうれしそうに言っています。
そんなある日、お父さんがひきだしからとりだしてブランくんとブリーちゃんにくれたのはカメラとそうがんきょう!
ずっとほしかったたからものに、ふたりはもう大よろこびです。
ブリーちゃんはそうがんきょうで遠くのけしきを見て、
「おやまがちかくにみえる!」
と大はしゃぎ。
ブランくんは、そんなブリーちゃんや、大すきな家族のしゃしんをとるのにむちゅうです。
とったしゃしんをブリーちゃんがノートにはっていくと、すてきな日記ができあがりました。
そこで、やっぱりふたりが気になるのは、チェストの一番上のひきだしのなかみ。
「ほかに、どんなたからものがはいっているのかな?」
ふたりはイスにのぼって上からしゃしんをとろうとしてみたり、そうがんきょうで見てみたりしたのですが、やっぱりひきだしにはとどきません。
すると、そんなふたりに気がついたお父さんとお母さんが、
「そんなに見たいなら……。」
と、わらいながらふたりを頭の上にのせて、ひきだしの中を見せてくれることになりました。
「やったあ!」
ブランくんたちはワクワクしながらひきだしをのぞきこんだのですが……なんと、中はからっぽ。
ふしぎそうに首をかしげるふたりに、お父さんが言いました。
「このひきだしは、一番のたからもの、家族の思い出を入れるためにあけてあるんだよ。」
お父さんの言葉に、ブランくんとブリーちゃんもにっこり。
さっそくふたりで作った日記をひきだしに入れて、みんなの大切なたからものにしました。