シルクハットのまほうつかい
(ほしぞらネコファミリー)
ほしぞらネコファミリーのお父さんジェームズさんは、村で大人気のマジシャンです。
お父さんがスティックでシルクハットをかるくたたきながら、
「さあ、このシルクハットにまほうをかけます。すると……。」
と言うと、からっぽのはずのシルクハットからきれいな紙ふぶきがまいちって、みんな大よろこび。
お母さんのアリソンさんのおとくいはうらない。
トランプをひろげて、
「このカードによると、今日は黄色のドレスをきて出かけるとすてきな出会いがあるでしょう。」
とうんせいをうらないます。
ほしぞらネコのお母さんにうらなってもらうといいことがあると、村の子どもたちに大ひょうばんなのです。
そんなお父さんとお母さんは、ほしぞらネコの女の子のシャンテールちゃんのあこがれ。
お父さんのようになりたくて、ある日、こっそりとお父さんのシルクハットをもちだしました。
「さあ、まほうをかけると……。」
とマジックをやってみたのですが、何回やっても紙ふぶきをとばすことはできません。
さいしょは楽しそうに見ていた赤ちゃんのレジーくんも、たいくつしてあくびをはじめるしまつ。
「わたしにはむりなのかしら。」
シャンテールちゃんはがっかりです。
そのときお父さんのよぶ声がきこえて、シャンテールちゃんはシルクハットをおいたまま、へやを出て行ってしまいました。
行ってみると、お父さんに、
「これからマジックショーををするから、てつだってくれないか?」
と言われて、シャンテールちゃんは大はりきり。
じゅんびをはじめたのですが、
(しまった! シルクハットをかりたままだわ。)
と、大いそぎでシルクハットをとりにもどりました。
シルクハットをもってステージに戻ると、お父さんが、
「持ってきてくれてありがとう!さあ、まほうをかけるよ。」
とシャンテールちゃんにいいました。
お父さんがいきおいよくスティックをふります。でも、シルクハットから出てくはずの紙ふぶきは出てきません。
(どうしよう…)とシャンテールちゃんが思った、そのとき…
シルクハットからレジーくんがぴょこん、と顔を出しました。
あれからシルクハットの中に入って、ねむっていたのです。
かわいいとうじょうに、みんなはくしゅかっさい。
「レジーくんはシルクハットのまほうつかいだね!」
お父さんとシャンテールちゃんはかおを見合わせてにっこりとわらいました。