うたごえエレベーター
(赤い屋根のエレベーターのあるお家)
ペルシャネコさんのすむ3かいだてのお家は、
村のみんながあつまる人気の場所です。
お父さんやお母さんたちの楽しみは、
すてきなかぐにかこまれたお部屋でのティータイム。
子どもたちや赤ちゃんたちのお気に入りはエレベーターです。
すーっと動いて2かいや3かいにつれていってくれるなんて、
のるたびにわくわくして楽しくてたまりません。
そんなある日、あそびにきていた赤ちゃんたちが、
ペルシャネコの女の子たちにたずねました。
「どうしてエレベーターはうごくの?」
「エレベーターの前で歌をうたえば、動くのよ。」
妹のペルシャネコちゃんはじょうだんのつもりで、
わらいながらそう答えたのですが、
それをすっかりしんじこんでしまった赤ちゃんたち。
それからは、村の赤ちゃんたちは、
エレベーターにのるたびに歌をうたって、
ペルシャネコさんのお家からは、
いつもかわいい歌声が聞こえるようになりました。
「じょうずにうたったほうがよくうごくって。」
「おはなのうたをうたうと、いいかおりがするの。」
いつのまにかそんなうわさまでひろまって、
みんなで歌のれんしゅうをするようになったほど。
妹のペルシャネコちゃんは、いまさら、
「あれは、じょうだんよ。」
なんて言えません。
こまってしまった妹のペルシャネコちゃんを見て、
ペルシャネコのお父さんは、
「よし、お父さんからみんなに話しておいてあげよう。」
とやくそくをしてくれました。
妹のペルシャネコちゃんはひと安心したのですが……。
お父さんがエレベーターの前にいくと、
赤ちゃんたちが声をあわせて歌のまっさいちゅう。
村一番のダンスずきのお父さんは、
ついみんなの歌声にあわせておどりだしてしまいました。
そして、赤ちゃんたちと目があうと、てれくさくなって、
思わずこんなことを言ってしまったのです。
「歌いながらおどったほうが、エレベーターはよく動くよ。」
それをきいて、
こんどは歌にあわせておどるようになった赤ちゃんたち。
「赤ちゃんたちの歌やダンスを見ていると、
とっても楽しい気分になるわ。」
と、村でも大ひょうばん。
ペルシャネコさんのお家は、
ますますみんなの歌声とえがおでいっぱいの
すてきなお家になりました。