毛糸のたからもの
(アルパカファミリー)
アルパカファミリーのかぞくみんなのしゅみは、
しゅげいです。
お父さんはあみもの、お母さんははたおりがとくいで、
アルパカの女の子はお母さんがおってくれたぬのに
きれいなししゅうをするのが大すき。
みんなでしゅげいをしながらゆっくりすごすのが、
アルパカさん一家のお気に入りでした。
やさしくておだやかなかぞくにかこまれて、
赤ちゃんはいつもニコニコごきげんです。
とくに、お父さんがあんでくれたぼうしが大すきで、
一日中てばなしません。
ぼうしをゆらしながら、
とくいのハイハイでアルパカちゃんとおいかけっこをするのが、
赤ちゃんのいちばんの楽しみなのです。
そんなある日、
いつものようにハイハイをしていた赤ちゃんは、
ぼうしの毛糸をテーブルのかどにひっかけてしまいました。
そのままハイハイをして、ぼうしはどんどんほどけていきます。
「赤ちゃん、まって!」
と、アルパカちゃんがおいかけても、
赤ちゃんはおもしろがってにげまわるばかり。
やっとアルパカちゃんがつかまえたときには、
ぼうしはぜんぶほどけて、
毛糸が赤ちゃんにからまっていました。
たからもののぼうしがないことに気づいた赤ちゃんは、
「うえーん!」
と、大なき。
アルパカちゃんたちがどんなにあやしても、
なきやみません。
「そうだ、いいものがあるわ。」
と、そこでアルパカちゃんが、
とっておきのものをとりだしました。
それは、お母さんがおったぬのにアルパカちゃんが
ししゅうをして作ったかわいいぼうしです。
赤ちゃんにかぶせてあげると、とってもにあっています。
「わあ、かわいい。」
みんなにほめられて、
やっとえがおがもっどった赤ちゃん。
その間に、お父さんがほどけた毛糸をまきとって、
大いそぎでぼうしをあみなおしてくれました。
「わあ、すごい、すごい。」
みんながかんしんして見ているうちに、
ぼうしはたちまちもとどおり。
「よかったわね、赤ちゃん。」
お気に入りのぼうしがふたつもできて赤ちゃんは大よろこび。
「わたしもこんな毛糸のぼうしがほしくなっちゃった。」
と、アルパカちゃんのことばに、
「そうだ、みんなでおそろいのぼうしにしようか。」
と、お父さんたちも大さんせい。
アルパカさん一家にまたすてきなたからものがふえそうです。