きねん日のプレゼント
(街のすてきなカップル)
ショコラウサギのお姉さんのボーイフレンド、
シナモンウサギのお兄さんは、
とてもやさしいロマンチスト。
街のみんなとなかよしで、
通りを歩けばあちこちから声をかけられる人気者です。
じつは、そんなお兄さんには、
ショコラウサギのお姉さんにひみつにしていることが、
ひとつありました。
それはショコラウサギのお姉さんにプレゼントしようと、
はちうえのバラを大切に育てていること。
もうすぐふたりの、あるきねん日がやってきます。
お兄さんがプレゼントをさがしていると、
フラワーショップのメイプルネコのお姉さんが、
「朝いちばんにさいたこのバラをプレゼントしてもらうと、
しあわせになれるという言いつたえがあるのよ。」
と、教えてくれたのです。
そして、きねん日の朝。きれいにさいたバラをもって
まちあわせの場所にいそぐとちゅう、
お兄さんはショコラウサギの女の子にであいました。
「バイオリンがうまくひけなくて……。」
と、おちこんでいるショコラウサギちゃん。
そこで、お兄さんは
「このバラをもっていれば、うまくいくよ。」
とさいたばかりのバラをプレゼントしてあげました。
お兄さんは元気のないショコラウサギちゃんを
見すごすことがどうしてもできなかったのです。
(でも、こまったぞ。新しいバラをさがさなきゃ。)
と、お兄さんがいそいでいると、声をかけてくれたのは、
メイプルネコのお姉さんとみるくウサギのお姉さん。
お兄さんの話を聞いたふたりが、
「これも今朝いちばんにさいたのよ。」
と作ってくれたのは、きれいなバラの花たばでした。
やくそくの場所でショコラウサギのお姉さんがまっていると、バラの花たばをかかえたお兄さんがかけつけてきました。
「きねん日のプレゼントだよ。」
いきをきらしながらお兄さんが花たばをわたすと、
ショコラウサギのお姉さんはうれしそうににっこり。
じつは、お姉さんはショコラウサギちゃんから、
今日のできごとをぜんぶ聞いていたのです。
お兄さんのやさしさに、ショコラウサギのお姉さんは
むねがいっぱいになりました。
「今日はなんのきねん日かおぼえている?」
と、シナモンウサギのお兄さん。
「もちろん。ふたりがはじめて手をつないだ日よ。」
ふたりはしあわせそうに顔を見あわせると、
そっと手をつないで歩きだしました。