おぼえているよ!
(マシュマロネズミの男の子)
マシュマロネズミの男の子はきおく力がばつぐん。
前にあったことや、
お友だちとの話をこまかくおぼえていて、
「あのときは、あんなことがあったよね。」
と、おもしろく話してくれます。
「わすれちゃったことは、
マシュマロネズミくんにきけばいいよ。」
と、たよりにされるほど。
算数のテストがあったときも、
「この前もマシュマロネズミちゃんが1番だったよ!
自分の名前は書きわすれちゃったけど。」
と、みんなに話しました。
じつはマシュマロネズミくんは計算はちょっとにがて。
はんたいにマシュマロネズミの女の子は
ちょっとわすれんぼうだけど、
計算は大とくいです。
だから、マシュマロネズミちゃんの
算数のことをほめたつもりだったのですが、
「そんなことまでおぼえていて、話さなくてもいいのに。」
と、マシュマロネズミちゃんにあきれられてしまい、
マシュマロネズミくんは大はんせい。
それからはおぼえていることをあまり話さなくなりました。
そんなある日、
マシュマロネズミくんたちは、
しょんぼりしているクマの男の子にであいました。
「どうしたの?クマくん。」
元気のないわけをたずねると、
「ぼくがしっぱいをしたせいで、
サッカーのしあいにまけちゃったんだ。」
と、すっかり自分にじしんを
なくしてしまっているようすです。
マシュマロネズミくんはそんなクマくんを元気づけたくて、
「クマくんはいつも友だちにやさしいし、
お花のせわをしてくれて、
みんなかんしゃしているんだよ。」
と、クマくんがいままでやってくれたいいことや、
ほめられた思い出をつぎつぎと話しだしました。
それは、
どれもクマくん本人もわすれていたようなことばかり。
すてきな話をきいて、
クマくんはすっかりじしんをとりもどすことができたのです。
その夜、マシュマロネズミくんはこのことを思い出しながら、
「また話しすぎちゃったかなあ。」
と、つぶやきました。
でも、それを聞いたマシュマロネズミちゃんは、
首をよこにふってこう言ってくれたのです。
「そんなことないわ。
クマくんを元気づけてくれてありがとう。
お友だちのいいところをぜんぶおぼえているなんて、
とってもすてき。またみんなにも話してね。」
うれしい言葉に、
すっかりてれてしまったマシュマロネズミくん。
それは、マシュマロネズミくんにとって、
わすれられないさいこうのほめ言葉になりました。