レストランのピアニスト
(街の音楽会セットーグランドピアノー)
街のレストランの前を通りかかると、
ながれてくるうつくしい音楽。
ショコラウサギの女の子とシルクネコの女の子は、
レストランの前を通るたびにその音楽をきいて、
「だれがえんそうしているのかしら?」
と、気になっていました。
そして、そんなふたりを、ショコラウサギのお姉さんが、
レストランにつれて行ってくれることになったのです。
スポットライトがてらす中、
ピアノをえんそうしていたのはライオンのお父さんです。
「ライオンさんはいろいろながっきをえんそうできるのよ。」
と、お姉さんがライオンさんをしょうかいしてくれました。
「こんにちは、小さなおきゃくさんたち。」
たちまちライオンさんの大ファンになったふたりは、
ねっしんにピアノをききにいくようになりました。
そして、そんなふたりを、
ライオンさんがおへやにしょうたいしてくれたのです。
ライオンさんのおへやには、いろいろながっきが、
まるでオーケストラのようにならべられていました。
目をかがやかせてがっきを見ていたふたりに、
「よかったら、ひいてごらん。
気にいったがっきがあったらプレゼントするよ。」
と、ライオンさん。
「ありがとう!ライオンさん!」
思いがけないプレゼントにふたりは大よろこびです。
ショコラウサギちゃんはバイオリン、
シルクネコちゃんはチェロをもらって、
さっそくれんしゅうをはじめました。
でも、バイオリンもチェロもむずかしくて、
出るのはギギーという音ばかり。
なかなかライオンさんのようなきれいな音色がだせません。
「わたしたちには、むりなのかもしれないわ。」
ふたりはれんしゅうをあきらめかけて、
元気をなくしてしまいました。
でも、そんなふたりのようすを見て、
お姉さんが教えてくれたのです。
「だれでもさいしょからうまくはひけないわ。
ライオンさんだって、毎日どりょくをしているのよ。」
ふたりがそっと開店前のレストランに行くと、
ライオンさんがひとりでピアノのれんしゅうをしていました。
ふたりに気がついて、ライオンさんはにっこり。
「がっきのれんしゅうは、楽しいかい?
いつか3人で音楽会がしたいね。」
「うん!やくそくね。」
ライオンさんのことばに、うれしそうにうなずいて、
ますます音楽がすきになったふたりでした。