チェリストはおひめさま
(街の演奏会セットーチェロー)
ライオンのお父さんはゆうめいなピアニスト。
すてきなえんそうにあこがれて、ピアノをききにきていた
ショコラウサギの女の子とシルクネコの女の子に、
ライオンさんががっきを
プレゼントしてくれることになりました。
「ありがとう!ライオンさん。」
ショコラウサギちゃんはバイオリン、
シルクネコちゃんはまよわずチェロをえらびました。
うれしくて毎日れんしゅうをしていたふたり。
がっきの音が、いつもふたりの家からきこえてきます。
それがだんだんきれいなメロディになっていくのを、
村のみんなも楽しんできいていました。
そして、
メイプルネコの女の子のおたんじょう日会で、
ふたりがえんそうをプレゼントすることになったのです。
おたんじょう日会にむけてれんしゅうをしていたある日、
ショコラウサギちゃんはシルクネコちゃんに、
「どうしてそんなにチェロがすきなの?」
とたずねました。
「大すきなものがたりに出てくるおひめさまが、
チェロをひいていて、ずっとあこがれていたの。
いつかおひめさまのようにチェロをひくのが、
わたしのゆめだったのよ。」
と、シルクネコちゃん。
(シルクネコちゃんのゆめをかなえてあげたいな。)
ショコラウサギちゃんはそう考えて、
ドレスデザイナーのショコラウサギのお姉さんに
そうだんをしました。
「まかせて。すてきなおひめさまにしてあげるわね。」
お姉さんはそのものがたりの本を見ながら、
おひめさまとそっくりのドレスを、
シルクネコちゃんに作ってくれることになったのです。
そして、できあがったドレスは
ほんとうにものがたりのおひめさまそのまま。
「おたんじょう日会、これをきて。」
ショコラウサギちゃんがシルクネコちゃんに
ドレスをプレゼントすると、
シルクネコちゃんは大かんげき。
「ありがとう!ゆめがかなったわ。」
メイプルネコちゃんのおたんじょう日会の日。
「メイプルネコちゃん、おたんじょう日おめでとう。」
こころをこめて
チェロとバイオリンをひくふたりは、
ものがたりからぬけだしたおひめさまのようです。
ふたりがかなでるうつくしいメロディは、
なによりすてきなおたんじょう日プレゼントになりました。