ぼうしをさがして
(街のおでかけトラム)
ある日、ショコラウサギさん一家が、
かぞくみんなで街にあそびに行きました。
ショコラウサギの女の子は、
お気に入りのぼうしをかぶってとってもうれしそう。
「早くトラムにのろうよ。」
楽しみにしていたトラムにのって、
さあ、街めぐりにしゅっぱつです。
チリンチリン。
トラムはにぎやかな通りを走っていきます。
「あの大きなたてものは、げきじょうだよ。」
「デパートでお買いものがしたいな。」
広いゆうえんちや、りっぱなホテル。
子どもたちは、まどから外を見て、
すてきな街なみに大よろこびです。
ところが、
ジェラートショップでひと休みしたとき、
ショコラウサギちゃんはぼうしがないことに気がつきました。
「どこかに、わすれてきたのかもしれないわ。」
「だいじょうぶ。きっと見つかるよ。」
みんなは今まで行ったところにもどって、
さがしてみることにしました。
「ぼうしを見ませんでしたか?」
あちらこちらできいてみたのですが、
ぼうしはなかなか見つかりません。
「デパートでそういうぼうしを見たわ。」
そう聞いて行ってみると、
ショーウインドウに同じようなぼうしがならんでいましたが、
ショコラウサギちゃんのぼうしではなくて、がっかり。
トラムのていりゅうじょで
うんてん手のメイプルネコさんにたずねると、
「こういうぼうしだったかな?」
と、とったばかりのしゃしんを見せてくれました。
それは、木のえだにかかったぼうしのしゃしんです。
「木が、まるでぼうしをかぶったように見えて
おもしろかったから、しゃしんにとったんだよ。」
と、メイプルネコさん。
トラムでそのしゃしんをとったところに行ってみると、
木のえだにちょこんとぼうしがかかっていました。
「わたしのぼうしだわ。ありがとう、メイプルネコさん。」
「よかったね。さあ、トラムがでるよ!」
メイプルネコさんがにっこりわらっていいました。
みんなでトラムにのりこんで、
楽しい街めぐりのつづきがはじまりました。