ゆめがかなうジェラート
(街のジェラートショップ)
ある日のこと、
ショコラウサギのお姉さんはすてきなうわさを聞きました。
『ジェラートショップのキャラメルとミントのジェラートを
いっしょに食べると、ゆめがかなうらしい。』
というのです。
じつはお姉さんにはどうしてもかなえたいゆめがありました。
さっそくジェラートショップに出かけていったお姉さん。
ところが、ジェラートショップではふたつとも売り切れ。
お姉さんは元気をなくして、しょんぼりしてしまいました。
「どうしたの?」
店長のメイプルネコさんがしんぱいしてわけをたずねると、
お姉さんはこううちあけました。
「もうすぐ新作ドレスの発表会があるんです。
どうしてもせいこうさせたくて、
ゆめをかなえてくれるジェラートが食べたかったの。」
話を聞いたメイプルネコさんはにっこりうなずくと、
きれいにデコレーションしたジェラートを作って
お姉さんにごちそうしてくれました。
「これこそ、とくべつなジェラートよ。
食べるとなんでもゆめがかなうのよ。」
「わあ、おいしそう!まるでほうせきみたい!」
お姉さんは大よろこびでジェラートを食べました。
おいしいジェラートにはげまされて元気が出たお姉さん。
ドレスのデザインもつぎつぎと思いつくようになりました。
発表会は大せいこう!
お姉さんのドレスは街でも人気です。
(メイプルネコさんのジェラートのおかげかも。)
お姉さんは心の中で、そっとつぶやきました。
ところが、発表会のあとすぐに、
お姉さんがジェラートショップにおれいに行くと、
メイプルネコさんはやさしくわらってこう言いました。
「じつは、あれはふつうのジェラートなのよ。
あなたをはげましたくてあんなことを言っただけ。
発表会のせいこうは、ジェラートのおかげではなく、
あなたががんばったからよ。」
メイプルネコさんの言葉に大きくうなずいたお姉さん。
「でも、じしんがもてたのは、メイプルネコさんがジェラートではげましてくれたおかげよ。ほんとうにありがとう!」
それから、お姉さんはお友だちに会うたびに、
「メイプルネコさんのジェラートのおかげで、
本当にゆめがかなったわ。」
と、うれしそうに話しました。
それが街のうわさになって、ジェラートショップは
ますます人気のお店になっていったのです。