メイプルネコくんの物語
(メイプルネコの男の子)
メイプルネコの男の子は本を読むことが大すき。
公園や林でさわやかな風にふかれながら、ゆっくりと本の世界を楽しむのがお気に入りです。
ある日、メイプルネコくんがいつものように公園で本を読んでいると、赤ちゃんたちがあつまってきました。
「なによんでいるの?」
赤ちゃんたちは本にきょうみしんしん。
メイプルネコくんは本のおもしろさをみんなにも教えてあげたくて、
「じゃあ、読んであげるね。」
と、はりきって本を読みはじめました。
赤ちゃんたちはとつぜんのお話タイムに大よろこびです。
メイプルネコくんが1冊読みおわっても、
「おもしろかったあ!」
「こんどはおひめさまでてくる?」
「ぼうけんがあるといいな。」
と、つづきがききたくてたまらないようです。
そこで、メイプルネコくんはみんながもっと楽しめるような物語を作ってあげることにしました。
「主人公はだれがいいかな?」
と、一生けんめいアイデアを考えて、学校の行きも帰りもノートとにらめっこ。
「メイプルネコくん、あそぼう。」
と、お友だちがさそってくれても、
「あとでね。」
と、うわのそらで、頭の中は新しい物語でいっぱいです。
ばんごはんのあと、メイプルネコくんは自分のへやにこもってノートをひろげました。
「うーん、やっぱりまほうつかいも出したほうがおもしろいかな。」
と、何回も書いたり、けしたり。
主人公になりきって、セリフを声に出してみたり。
夜おそくまでかかって、やっと1冊の本を書きあげました。
つぎの日、メイプルネコくんが本をもって公園に行き、
「さあ、みんな、物語の時間だよ。」
とよびかけると、まちかねた赤ちゃんたちがかけよってきました。
「むかし、むかし、ある所に……。」
お話がすすむにつれて、赤ちゃんたちは、ハラハラしたり、大わらいをしたりと、本の世界にひきこまれていきます。
「おもしろかったー!」
「また、ごほんよんでね。」
という赤ちゃんたちのえがおを見て、メイプルネコくんもうれしくてたまりません。
「つづきも楽しみにしててね。」
それからも、物語を作って公園でみんなに読んであげることが、メイプルネコくんのもうひとつの楽しみになりました。