星の海の灯台
(星空の見える灯台のお家)
「すてきなところにあんないするから、あそびにいらっしゃい。」
と、ショコラウサギのおばあさんにしょうたいされて、しおかぜ岬にやってきたシルバニア村の子どもたち。
「すてきなところって、どこ?」
と、ショコラウサギの女の子がたずねると、おばあさんは、
「それは岬の先にある灯台よ。」
と、にっこりわらって答えました。
それを聞いて、ショコラウサギちゃんたちはびっくり。
その灯台は古くて、もうだれもつかっていないはずです。
そして、おじいさんたちにつれられて岬に行ったみんなは、灯台をひとめ見るなり、もういちどびっくり!
古い灯台はすっかりすてきなロッジにうまれかわっていたのです。
「まどははじめてのったボートの形なんだ。バルコニーのさくはそのとき見た雲とかもめのもようにしたんだよ。」
と、灯台はおじいさんの思い出がいっぱいつまっていました。
へやに入ると、おじいさんとおばあさんはテーブルやソファーの形にまつわるお話をきかせてくれました。
「ボートで海に出てあらしにあったとき、やっと島が見えたと思ったら、それはくじらのせなかだったんだ。」
「海にもぐると、白くかがやく大きな貝があって、中にたからものがいっぱい入っていたのよ。」
貝のソファーの上で、くじらのテーブルやボートがたのベットを見ながら、みんなは楽しいお話にもうワクワク。
「やがて、むじん島につくと、ききゅうをくみたてて、やっとしおかぜ岬に帰ってきたんだ。そのときこの灯台が道しるべになったんだよ。」
2かいにあがると、お話と同じようにききゅうがあって、赤ちゃんたちは大よろこびです。
「これは本当のお話なの?」
というショコラウサギちゃんたちに、
おじいさんは、
「さあ、どうかな?」
と、いたずらっぽくほほえみました。
その夜は、みんなで灯台のお家にとまることになりました。
ばんごはんのあと、
「たからものを見せてあげるわ。」
と、おばあさん。
そして、子どもたちが灯台にのぼって上を見上げると、そこはいちめんきらめく星空。
空全体がほうせきばこのようにキラキラとかがやいて、
「わあ、きれい!」
と、子どもたちは大かんげきです。
うっとりと空を見上げていたショコラウサギちゃんが、
「星空に行ってみたいな……。」
と、思わずつぶやくと、こんどはとなりにいたお父さんが、
「じゃ、星空をとんでみるかい?」
とにっこり。
飛行船で、星空のさんぽにつれていってくれるというのです。
そして、ショコラウサギちゃんたちをのせた飛行船は、光の海にこぎだすように、星空にまいあがりました。
「わあ、ゆめみたい!」
と、大よろこびのショコラウサギちゃんと赤ちゃん。
「ショコラウサギちゃーん!」
と、明るい灯台ではお友だちが手をふっています。
「やっほー!」
飛行船は星の中をすすんでいきます。
とおくまでとんでいっても、灯台の光がみちしるべになるのでだいじょうぶ。
やさしい光を目じるしに、みんながあつまる楽しい場所ができました。