ネクタイ、むすべるかな?
(トイプードルの赤ちゃん)
トイプードルの赤ちゃんには、あこがれているものがあります。
それは、お父さんが首にむすぶ、長くておしゃれなぬの、ネクタイ。
あのぬのをお父さんがつけると、とてもかっこいいのです。
ある日、赤ちゃんがこっそりクローゼットをのぞいてみると……そこには、色とりどりのネクタイがたくさんありました。
赤ちゃんは、自分もお父さんのようにクローゼットから赤いチェックのネクタイをえらぶと、首にまいてみました。
でも、お父さんみたいにかっこいいかたちにむすべません。
首にむすぶのはむずかしいな、と思った赤ちゃんは、2本のネクタイをつなげてみました。
こんどは、上手にできます。
どんどん、どんどん、色とりどりのネクタイがつながっていくと、まるでカラフルなリボンのように見えてきました。
赤ちゃんは楽しくてしかたありません。
つながったネクタイは、おともだちみんなででんしゃごっこができそうな長さになりましたが、まだまだネクタイはあります。
長くなったネクタイのリボンをながめていた赤ちゃんは、いいことを思いつきました。
「これでおうちのなかをかざったら、とてもきれいだろうなぁ。」
そして、クローゼットにあるネクタイをぜんぶつなげたのです。
その長い長いネクタイを引きずって、赤ちゃんはおへやの外へと出ていきました。
夕方、トイプードルのお父さんが、お家に帰ってきました。
そしてドアをあけてびっくり!
ドアノブからかいだんの手すり、かべなど、あちこちがカラフルなリボンで、デコレーションされています。
「これはすごいなぁ、パーティーでもあるのかな?じょうずにできたね!」
かんしんして、そのかざりを見ていたお父さんでしたが、きゅうに目を丸くして言いました。
「あれ?これは、もしかしたらぼくのネクタイじゃないか!」
しかられると思った赤ちゃんは、
「だって、おとうさんがいつも、かっこよくネクタイをしているから……。」
と、これまでのことを話しました。
すると、お父さんは赤ちゃんをひざにのせて、頭をなでました。
「そうか、赤ちゃんはネクタイをしてみたかったんだね。」
そう言って、ネクタイを1本かざりからとると、赤ちゃんの首に、きゅっとむすんでくれました。
「わーい! ありがとう!」
そのネクタイは、赤ちゃんのだいじなたからものになりました。