すてきなプレゼント
(森の焼きたてパン屋さん)
シルバニア村の子どもたちが毎日かならず立ちよるお店、それはみんなに大人気のパン屋さん。
めじるしはレンガの大きなオーブンです。
オーブンからおいしそうなかおりがしてきたら、あつあつのパンがやきあがった合図。
「パン屋さんに行こう!」
と、元気にかけだしていく子どもたちをまっていてくれる店長さんは、ハリネズミのお母さんです。
「いらっしゃい。まっていたのよ。」
と、ハリネズミさんがつぎからつぎへとオーブンからとり出してならべていくのは、クロワッサンやチョココロネなどなど。
「わあ、おいしそう!」
「どうしよう、ぜんぶ食べたくなっちゃう。」
とみんながまよってしまうくらい、しゅるいがたくさんあって、おいしいだけではなくて、見るだけでも楽しいパンばかりです。
学校帰りにやってきたショコラウサギの女の子とくるみリスの女の子は、いちごデニッシュとくるみパンにすることにしました。
そして、
「こんなにかわいいパン、食べるのがもったいなくて、かざっておきたくなっちゃうね。」
と、ショコラウサギちゃんがうれしそうに言うのを聞いて、くるみリスちゃんはあることを思いついたのです。
つぎの朝早く、くるみリスちゃんは
ひとりでパン屋さんにやってくると、ハリネズミさんにこんなことをたのみました。
「うちのお母さんはハリネズミさんのパンが大すきなの。お母さんのたんじょうびプレゼントに、とくべつなパンをやいてもらえる?」
すると、ハリネズミさんも、
「もちろんよ。どんなパンがいいかしら?」
と、大はりきり。
さっそくふたりでそうだんをはじめました。
ところが、ふたりであれこれ考えたのに、なかなかいいアイデアがうかびません。
ふたりがなやんでいると、そこにショコラウサギちゃんがやってきました。
そして、くるみリスちゃんの話を聞くと、
「うーん、そうだ!くるみリスちゃんのお母さんはいつもみんなをお家によんでくれるから、お家の形のパンはどうかしら?」
と、すてきなアイデアを出してくれたのです。
これにくるみリスちゃんたちも大さんせい。
「やきあがりを楽しみにしていてね。」
とハリネズミさんにいわれて、ふたりはワクワクしながらまっていました。
そして、おたんじょう会の日、ハリネズミさんが作ってくれたのはふたりが考えていたよりも、ずっとずっと大きなパン!
「ほんもののくるみリスさんのお家みたいにみんながあつまるすてきなお家にしようと思ったら、こんなに大きくなっちゃったわ。」
ハリネズミさんがわらいながら言いました。
「ありがとう!ハリネズミさん!」
くるみリスちゃんは大かんげき。
すてきなプレゼントにお母さんも大よろこびで、おたんじょう会は大せいこうでした。
そして、お家パンを見た村中のみんなが、
「ぼくには車のパンを作って!」
などととくせいパンをたのむようになって、ハリネズミさんは大いそがし。
パン屋さんは、いつもやきたてパンのいいかおりとみんなのえがおでいっぱいです。