楽しいこと7つ
(みんなでドライブ ファミリーワゴン)
ある日曜日、ショコラウサギさんの一家はみんな、いつもより早く目がさめて、ベッドからとびおきました。
今日はとくべつな日。
新しい車で、キラキラこまではじめてのドライブをするのです。
カーポートにとめてあったふかみどり色のワゴンを見たとたん、
「かっこいい!」
と、子どもたちと赤ちゃんは大よろこび。
「このワゴンは、クマの村長さんが村のみんなのためにとりよせてくれたんだよ。」
と、お父さんが、ワゴンがシルバニア村にきたいきさつを教えてくれました。
ワゴンのりょうがわのドアがあくので、みんなでにもつをつみこむのもらくらくです。
赤ちゃんとふたごちゃんのためにチャイルドシートもつけて、さあしゅっぱつ!
赤ちゃんは、
「おとうさん、おかあさん、おにいちゃん…。」
と、ワゴンにのっているかぞくの数をかぞえて、
「みんなで7人!」
と、ごきげんです。
ワゴンは村の道をどんどんはしっていきます。
「あっ、シルクネコくんとシルクネコちゃん!」
「おはよう!キラキラこにいってくるね。」
ショコラウサギの男の子とショコラウサギの女の子は、道を歩いているお友だちをみつけると、うれしそうに手をふりました。
「いってらしゃーい!」
と、シルクネコの女の子。
こんなふうに、道やはたけであったひとたちとあいさつをしながら村をとおりすぎたとき、
「いままで会ったひともぜんぶで7人よ。」
と、ショコラウサギちゃんが気づきました。
そのぐうぜんにうれしくなって、
「じゃ、7つのものをさがそうか?」
と、思いついた子どもたち。
林の中をはしりぬけながら、みつけた小鳥や、空のくもを、
「ひとつ、ふたつ……7つ!」
と、数えはじめました。
ワゴンのうしろのシートは、むかい合わせにしたり、たおしてたいらにすることもできます。
子どもたちは、とちゅうですわりかたをいろいろかえて、大はしゃぎ。
そして、おしゃべりをしたり、おやつをたべたり、うたをうたったり……。
ちょうど7つ目のうたがおわったとき、ワゴンはキラキラこにつきました。
「車だから早くついたね。」
というショコラウサギくんに、
「楽しいときは、時間のたつのもいつもより早くかんじるわね。」
と、お母さんはにっこりわらってこたえました。
それから、お母さんとショコラウサギちゃん、ふたごちゃんはみずうみのほとりをさんぽしました。
木立の中でショコラウサギちゃんがひろったのは、きれいな木のみを7つ。
「これでネックレスを作って、はじめてワゴンでドライブしたきねんにするの。」
と、ショコラウサギちゃんは木のみを大切にポケットにいれました。
お父さんとショコラウサギくんと赤ちゃんは、みずうみでつりのまっさいちゅう。
「見て!つれたよ!」
と、つぎつぎつりあげて、つれた魚を数えると、やっぱり7ひき!
「やったー、また7ひきだ!」
ショコラウサギくんと赤ちゃんは手をたたいてよこびました。
お昼ごはんは、つった魚でバーベキューをして、みんな大まんぞく。
ところが、水あそびをはじめてしばらくたったころ……。
空に雲がふえてきて、やがて、ポツリ、とつめたい雨つぶがおちてきました。
そして、赤ちゃんが顔や手にあたる雨つぶを
「ひとつ、ふたつ……。」
と数えているうちに、雨がザーッとふりだして、
「ワゴンにのろう!」
と、みんなはあわててワゴンにかけこんだのです。
「ボートにものりたかったのに、ざんねんだね。」
と、お父さん。
でも、ワゴンの中で、
「7つのもの、いくつ見つかった?」
と、おしゃべりするのも、とっても楽しい時間です。
しばらくすると雨がだんだんよわくなって、雲の間からお日さまがさしてきました。
そのとき、ショコラウサギちゃんが、
「7つのもの、みーつけた!」
と言って、外をゆびさしました。
そして、みんながワゴンのまどから空をみあげると、そこには大きな七色のにじがかかっていたのです。
「わあ、きれい!」
と、みんなは大かんげき。
雨上がりのお日さまの光に、7人ののったワゴンもキラキラかがやいていました。