きねんかんのひみつ
(はじめてのシルバニアファミリー )
ある日、ショコラウサギさんの一家が、ドライブにでかけました。
ようせい沼やうそつき林など、村のどこに行ってもショコラウサギの女の子とショコラウサギの男の子は、
「わあ!きれい。沼のそこにいるようせいさんが見えるかな?」
「音のなる木を見つけようよ。」
と、大はしゃぎ。
ドライブのさいごに、一家は村のきねんかんに行きました。
ここは、村で一ばんさいしょに作られた丸太ごやです。
お父さんたちがまわりのけしきを見ているあいだに、ふたりはやねうらべやにのぼってみました。
「むかしの子どもたちも、このやねうらべやでかくれんぼしたのかな?」
ふと見ると、かべのすみに名前がいくつかきざんであります。
「むかしの子どもたちもいたずら書きをしたのね。」
ふたりはおもしろがって、そのよこに自分たちの名前をきざみました。
それは、ほんの小さないたずらのつもりだったのですが……。
よくじつ、ショコラウサギちゃんたちが学校で、きねんかんに行った話をすると、クマの女の子が、こんなことを教えてくれたのです。
「お父さんにきいたんだけど、やねうらべやにきざんであるのは、あのこやをたてたひとたちの名前で、大切なきねんなんだって。」
ショコラウサギくんとショコラウサギちゃんは、びっくり!
「どうしよう、大切なきねんにいたずらしちゃった。」
と、ふたりでなやむばかりです。
「ふたりとも元気がないけど、どうしたの?」
とお父さんとお母さんにきかれて、やっと本当のことをうちあけると、お父さんたちは、
「村長さんにあやまりにいこう。」
とやさしく言ってくれました。
クマの村長さんのお家につくと、ふたりはなきだしそうな声できねんかんでのことを話しました。
ところが、クマさんはふたりの話をきいたとたん、大わらい。
「いいんだよ、あれは大切なきねんじゃなくて、ぼくが子どものとき、いたずらで自分たちの名前をきざんだだけなんだ。
子どもたちには作り話をしていたんだよ。これで、きみたちとぼくはいたずらなかまだね。」
クマさんの話をきいてショコラウサギさん一家も大わらい。
「でも、もう二どとたてものにいたずらをしてはいけないよ。」
というショコラウサギのお父さんに、子どもたちが、
「はあい。」
と、すなおにこたえました。